三人で始めちゃおっか『トライアングルエクスタシー』(オリジナル2015)

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    「一郁、お正月はどうするんですか」
    「実家に帰るの。それとも東京に?」
     美形の双子である伊達誠と怜の兄弟に口々に問われ、澤野一郁は目を丸くし、ふわりと笑った。
    「東京で過ごそうと思っています。じつは昨日実家から電話がかかってきて、両親はこの年末年始、ハワイで過ごすらしいんです。だから、俺はひとりというか」
    「だったらさ、俺たちと一緒に過ごしませんか」
    「あ、怜、俺の台詞取った。そう、じつは三人で過ごしたいなと思ってるんだ」
     言葉を取り合ってくすくす笑う双子とは、少し前に旅した沖縄で偶然出会った。垢抜けた容姿に楽しい会話。どう見ても旅先のアバンチュールだと自分に言い聞かせたが、神様はこの偶然を運命の出会いに変えてくれた。東京に戻って再び会うようになり、三人は秘密の恋とセックスをしている。
     ――まさか、モデルの彼らとつき合うことになるなんて。
     しかも、ひとりじゃない。ふたり、とだ。
     まだ大学生の一郁にとって、自分たちの道を突き進んでいく怜と誠はきらきらまぶしい。自分も、いつかこういうふうになりたいとひそかにお手本にしているぐらいだ。
     今日の怜たちは少し早めに仕事が終わったようで、一郁もちょうどバイトが休みだった。三人は表参道にあるカフェでお茶を飲みつつ、あれこれと話していた。
    「いいですね。俺もとくに予定はなくて、ひとり鍋でもつついて紅白を見ようかなと思ってたから、怜さん誠さんと一緒に過ごせるなら嬉しいです」
    「じゃ、うち来てよ。俺がとっておきのみぞれ鍋を作ってあげるからさ。鶏肉や水菜と一緒に、こんがり焼いたお餅も食べるんだ」
    「誠が毎年作るんですよ。ほかの料理はいまいちですけどね」
    「あー、そういうこと言って。俺の作るフレンチトーストも結構美味しそうに食べるくせに」
    「ふふっ、食べてみたいです。やっぱり、鍋は大勢がいいですよね」
    「じゃ、大晦日にうちに集合! みんなで年越しをしよう」
     誠が言ってアイスティーのグラスを掲げ、怜と一郁も微笑んでティーカップをかちんと軽く触れ合わせた。


    「あのー……誠さん、怜さん、俺、ほんとうになにもしなくていいんですか?」
    「いいのいいの、もうすぐそっちに持って行けるから待ってて」
    「いま、最後の味見をしているところです」
     大晦日の夜、一郁は恐縮しながらこたつに入っていた。怜と誠は、ふたりで麻布十番のマンションに住んでいる。普通の大学生である一郁には、ちょっと想像がつかないほどのリッチさだ。
     だが、スタイリッシュなリビングに、なんとも庶民的なこたつが置かれている。ふわふわした布団や綺麗な天板から考えても、つい最近買ったばかりのものらしい。
     テレビでは紅白をやっていて、妙に和んでしまう。日本らしい年の瀬だ。
    「はーい、大変お待たせしました。おろし鍋だよ」
     誠が笑顔で鍋をテーブルコンロに乗せ、ぱかっと蓋を開けた。
    「うわぁ……、真っ白だ!」
    「これ全部、大根おろしだよ。俺と怜がかわりばんこですったんだ」
    「中にはお餅や鶏肉、野菜が入っています。もう煮えていますから、食べられますよ」
    「じゃ、遠慮なく。いただきますね」
    「はい、どうぞ」
     怜と誠も腰を下ろし、箸を取る。
    「ん、ん、……んー、このお餅、香ばしい」
    「ごま油で焼いてるんだ。ひと味違うでしょ」
    「はい。ん、白菜も美味しい。ネギも」
     はふはふ言いながら食べる一郁に正面の誠が笑い、「一郁、あーんして」と言い、箸を伸ばしてくる。
    「え、あ、……あーん」
    「はい、しいたけ」
    「……ん、……ん、……あぁ、このしいたけ、肉厚でめちゃくちゃ美味しいです」
     その様子を冷静に見守っていた斜め横の怜がふっと笑い、鶏肉を冷ましてくちびるに挟むと、「一郁さん」と唐突に後ろ髪を掴んできた。
    「怜さ……っん、ん――ぅ……ふ……っ……」
     突然のキスにびっくりしたけれど、怜らしく、くちびるを焦れったく食みながら鶏肉を口移ししてきて、一郁もなんとか応えた。なんだか、彼の情の深さまで食べさせられた気がする。
     美味しくて、とびきり危険な味だ。
    「……っは……、う、……ずるいですよ、怜さん、こんなキスされたら……」
     上目遣いに怜を見ると、整った美貌の怜がくちびるの端をつり上げる。
    「次は私自身が欲しいですか」
    「う……」
    「おいこら、俺を差し置いてふたりで盛り上がらない。目の毒だって。襲うぞ」
     焦れた様子の誠が割り込んできたことで、つい吹き出してしまった。
    「すみません。誠さん」
    「あとでいっぱい一郁を食べさせてくれるなら許そうかなぁ」
    「最初から襲う気だったくせに」
     怜の言葉に誠も「あたり」と顔をほころばせ、三人で笑ったところで美味しい食事に戻った。


     楽しく紅白を見て一月一日の零時を迎え、みんなで「あけましておめでとうございます」「今年もよろしくお願い申し上げます」と頭を下げたあとは、怜から「お年玉ですよ」とポチ袋をもらってしまった。
    「そんな、申し訳なくていただけないです」
    「いいんですよ、気持ちだし。それに、中身を見たら拍子抜けするような金額かもしれないし」
    「……じゃあ、ありがたくいただきます。俺からおふたりになにか差し上げるものはありますか?」
     素直に訊ねると、怜と誠はちらりと視線を絡め、そっと手を掴んできた。
    「きみが欲しい、一郁。姫はじめって知ってる? 想い合う者同士が、年の初めにするセックスのこと」
    「それを、あなたとしたいんですよ。誠は追い出したいですが、引き下がらないので、まあ仕方なく」
    「俺だって怜を追い出して一郁を独占したいって」
    「あ、あの……」
     熱い手を感じながら、一郁はうつむいた。
    「俺も……怜さんと誠さんが……欲しいって思っていました。その、三人で……」
    「エッチなこと、しちゃおうか」
     誠がいたずらっぽく笑い、指先をきゅっと掴んでくる。それがやけに卑猥に映ったから、一郁は魅入られたようにこくりと頷いた。


    「んぅ……ん、……」
     ほのかなランプがともる怜の寝室で、一郁はふたりに衣服を剥ぎ取られながら熱っぽいキスを受けていた。もう何度したかわからないキスなのに、いつも気持ちよくて新鮮だ。
     誠が顎を掴んでくちづけてきて、とろりと唾液を交わしてくる。彼の胸に手を当ててすがりつくと、怜にジーンズを脱がされ、びくんと波打つ性器に夜気が触れる。
    「もう先っぽがびしょびしょになってますよ。一郁さんのここ、濡れて光っている」
    「あ……!」
     勃ち上がったペニスの先端を指先でくりくりっとこじ開けられる悦びに、声が掠れてしまう。腰をふるわせる一郁の痴態を愉しみ、怜はゆっくりとそこに顔を近づけていく。次の瞬間、まるで全身が溶け崩れるような快感に襲われた。ためらいなく性器を口に含んだ怜が、じゅるっと淫らな音を立てて啜り込む。
    「ん、っう、ぁ……あぁっ、や、や、怜さん、……溶けそ……」
    「可愛い声だよ、一郁。おっぱいはどうする? いつもどおり触ってほしい?」
    「……はい……誠、さん……」
    「じゃあ、おねだりして」
    「……ッ……俺の、……おっぱい、……ん、吸ってください……」
     恥じらいながら途切れ途切れに言った。これも、何度言わされても慣れない言葉なのだが、そのぎこちなさを怜と誠はこよなく愛しているらしい。
     待ちきれない顔で、誠が裸の胸に吸い付いてきた。
    「あ、あっ、んん、っや、ん……はぁ……っいい、きもち、いい……っ」
    「ん、一郁のおっぱい、すっごくいやらしい味だよ……もっときつく吸ったら、なにか出してくれる?」
     囓って、舐めて、蕩かして。誠の男らしい顔が間近にあり、自分の胸を美味しそうに吸っているなんて、いつ見ても信じられない思いだ。ペニスを根元から舐る怜の指が淡いくさむらをかき回すのにも、ひどく感じてしまう。垂れる唾液を使って、怜は狭く締まるアナルも探ってきた。男に貫かれる悦びをしっているそこは自分でも恥ずかしくなるほどたやすく解け、雄の侵入を待ち望む。
    「だめ、だめ、……イっちゃい、そう……」
    「何度でもイかせてあげます。私の口に出してください」
     言うなり、怜が顔を前後に振って一郁のペニスを吸い上げる。誠も同じリズムで、乳首を舐め回す。ふたりがかりで感じさせられることに一郁が勝てるはずもなく、あえなく陥落して、「……っあぁ……!」と声を上げて吐精した。
    「イく……っ! あ、あ、……っん――は……っあ、……」
     怜の口に出しているという罪悪感はあるけれど、身体の芯がふるえるような強い快感に射精が止まらない。
    「ん……、たくさん出しましたね。先週も抱いてあげたのに」
     くちびるを白濁で濡らす怜は夢に見そうなほどエロティックだ。まだ息が乱れている一郁に誠がキスをしてきて、「この口」とくちびるをつついてくる。
    「罪作りだよ、一郁のくちびるは。キスをしてもしてもむさぼりたくなる。一郁の口に、俺のこれ、挿れちゃおうかなぁ……」
    「っぁ、誠さん……おっきい……」
    「ずっと我慢してたからね。きみの顔を俺の精液で濡らしちゃうのも卑猥でいいな。ね、どう、怜」
    「いいですね。見てみたい。では、今日は私が先に繋がりましょうか。一郁さん、私があなたの中に挿ってもいいですか」
    「……っはい、……怜さん。来てください、俺の……中に。誠さんは、口で愛したい……」
    「いいよ、俺の美味しい蜜で満たしてあげる」
     嬉しそうに、誠が反り返る男根を捧げ持ち、一郁の口に軽く押し込む。ぬぷっと亀頭を舌の上で感じただけでまたいきそうなのに、きつい窄まりを指で愛撫する怜がゆっくりと硬い肉竿でこじ開けてくる。
    「ん――ン、ふ……っ……!」
     くちびると下肢を犯される刺激に耐えきれず、一郁は再び達した。頭のうしろがじわりと痺れるような快感は、最近覚えたものだ。瞬発的な射精とはまったく違っていて、一度感じ始めるととめどがない。ずっと身体中が甘く痺れ、なにをされても気持ちいい。
    「いいな、一郁……ドライでいけるようになったんだね。きみの口の中、たまんないよ……ぬるぬるしていて、温かくて最高。ちょっと動いてもいい?」
    「ん、ん」
     懸命に頷くと、怜と誠、同時に動き出した。
    「んっんっ、あ、っん、っ」
    「一郁の可愛い顔を俺の精液で汚しちゃうのかちょっと申し訳ないけど。でも、ずっと考えてたんだよね。顔射してみたいってさ」
    「ふふっ、中が熱く締まっている……私好みの熱さだ。もっと突いて、擦ってあげます。あなたを孕ませてしまいたい」
     ふたりは思うさま一郁をむさぼる。真ん中に置かれた一郁はくちびるとアナルだけではなく、乳首まで攻められる心地好さに息を切らした。
     硬く突き刺さった怜の肉棒がねっとりと襞をかき回していく。最奥に亀頭をぐりぐりと押しつけられるのが、たまらなく好きだ。
     口をずっと開きっぱなしだから、幾筋も唾液が顎を伝い落ちていく。それでも、じゅぽじゅぽといやらしい音を響かせて誠のものを舐めしゃぶりたい。
     もう、ぐちゃぐちゃになってしまう。とろとろに溶けて、怜と誠のものになりたい。
    「そろそろ、かな……」
    「ええ、私もです」
    「――ん、ッん、……ぅ……っ……ん……!」
     激しく腰を遣ってくるふたりに飲み込まれて、一郁はびくんと身体を波立たせた。瞼の裏がちかちかするほどの強烈な絶頂に続き、誠が息を詰めて熱いしぶきを口内に放ってくる。怜は蕩ける肉襞が収縮するのを愉しみ、余裕たっぷりに奥をめがけて射精してきた。
    「は……ぁ……っはぁ……あぁっ……」
     誠がペニスを引き抜き、どくりと顔にかけてくる。青味を帯びた精液が鼻を、頬を、くちびるを濡らしていく。思わず舌を突き出すと、誠が指先に精液をすくい取って舐めさせてくれた。
    「……誠さんの、……すごく、濃い……」
    「きみをこころから愛してる証拠だよ」
    「怜さんのも、奥まで……届いてます」
    「わかりますか? 私の精液を飲んで、あなたのアナルはびしょ濡れだ。この中を突くのがたまらなく気持ちいい」
     低く笑い、まだ繋がったままの怜はゆるく腰を出し挿れする。いったばかりで感じやすくなっている蜜壺を突かれる気持ちよさは言葉にならない。出し切ったはずの精液が、つうっとこぼれ出すほどだ。
     一度や二度の絶頂ではおさらまない炎を胸の奥に持っているのが、怜と誠だ。
    「まだ食べたいよ、一郁。今度は、怜と代わろうか。怜が出した精液がぐちゅぐちゅって中で泡立つほどいっぱい突いてあげる」
    「私は一郁さんの手で扱いてもらうのでもいいですね。顔にも出してあげますよ。ふたりぶんの精液を受けてどろどろに汚れるあなたが見たい」
    「……はい、……抱いてください、怜さん、誠さん。俺を――もっと、いやらしくして」
     自分だって感じていることを伝えたい。精一杯の言葉を絞り出すと、怜と誠は余裕を剥ぎ取って顔を引き締め、それから一郁に深く覆い被さってきた。


     久しぶりに怜と誠のたがが外れて骨までむさぼられ、一郁は元日の半分をベッドで過ごした。
     夜になってベッドから抜け出て怜の作った美味しいお雑煮をいただき、やっと落ち着いた。
    「やー、なんていうか、自分でもびっくりするぐらい一郁を求めちゃったね。大丈夫? 無理させたかもしれないね、ごめん」
    「あなたと来たら、一度はめるとなかなか抜かないし」
    「……っ」
     秀麗な顔をしていて卑猥なことをさらりと言う怜にお餅を喉に引っかけそうだ。
    「もう……ふたりとも、激しいです」
     一瞬でも彼らふたりに張り合えるだろうかと思ったが、やっぱり生半のことでは太刀打ちできないようだ。
    「一郁さん、お餅、もう一個焼きましょうか」
    「はい」
     東京風の醤油ベースがさっぱりとして美味しいお雑煮にはこんがり焼き色がついたお餅が二個入っていたのだが、ぺろっと平らげてしまった。
     手早くトースターでお餅を焼いてくれた怜がお代わりをついでくれ、一郁は礼を言ってふうふうと冷ます。
    「作ってもらうばかりじゃ悪いから、次は俺がなにか作ります。なにがいいですか?」
    「んーそうだな、一郁の手料理ってなんでも美味しいから迷うな」
    「じゃあ、私がリクエストしてもいいでしょうか。チャーハンはどうですか。ぱらっとしたやつが食べたいんですが」
     それを聞いて、一郁は花がほころぶような笑みを浮かべた。その笑顔こそ、怜と誠を強く惹き付けているのだとは知らずに。
    「ちょうどよかった。俺、中華料理屋さんでバイトしている友だちに、美味しいチャーハンの作り方を教わったばかりなんですよ。たまごはふわふわで、ごはんはぱらっと、刻みほうれん草も入ります」
    「じゃあ、チャーハンに決まり! うっわ、わくわくしてきた。早くお腹を空かせないと。そうだ、ふたりとも、お雑煮を食べ終わったら、初詣に行こうよ」
    「こんな夜にですか?」
    「明るくなったら、大勢の参拝客で混雑するしさ。今夜は晴れていて、きっと星も見えるよ。それに俺、願い事がたくさんあるんだよね。一郁と俺たちがずっと健康でしあわせでいられますように、一郁の学校とバイトがうまくいきますように、そして一郁がもっと俺を好きになってくれますように――怜よりもね」
    「その反対の言葉をあなたに返しますよ、誠」
     顔を見合わせて、三人でいっせいに笑った。
     胸の底から温かくなる、新しい一年の始まりだ。



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