3/4 J・GARDEN44

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    ☆朝一番の高額紙幣はご遠慮下さいませ。

    ☆すべて18禁です。

     

    配置:Cホール ひ09a「Cult7」

    ※お隣は西野花さんですがインフルで残念ながら欠席です……!

     

    ☆新刊☆

    「あなたのすべては俺のすべて」(「黒い愛情」番外編)300円

    本編終了1年後、甘やかに暮らしていたはずの伏見はなぜかマンションのとある一室に監禁されてしまう。相手は恋人の加藤。彼の思惑を知る中で無理やり組み敷かれ……?

    咀嚼口移し+ライトカニバ+やや宗教観が入っています。なのにハピエン。全力でどエロ。

     

    ☆既刊☆

    「はじめまして、澤村です。」(『くちびるに銀の弾丸』番外編)300円

    「オメガの休暇」(「オメガの血縁」番外編)500円

    「パパとあのことかわいいあのこ」300円

    「Re:他人同士」(『他人同士』番外編)1000円

    その他諸々

     

    ※当日、先着順で、新刊ご購入の方にサイン入りの見本誌をプレゼントします。

    タイトルはお任せ下さいませ。

    ※ペーパーはありません。

    ※当日はひとり体制なので、もし立て込む時間がありましたらご容赦いただければ幸いです。

     

    ※折り畳み記事に新刊のサンプルがあります。

     

     

     

     

    「あなたのすべては俺のすべて」サンプル

     

     


    暑い。
    最初に感じたのはそれだった。熱気が室内に充満していて、伏見智紀はいやいや瞼を開けた。頭の芯が鈍くじんじんしていて、物事がうまく考えられない。いったい、どうしたのだろう。確か昨日は勤務先のカウンセリングルームに所属するスタッフ同士で飲み会があり、伏見も喜んで参加したのだった。会社は外資系なので、日本の企業のように縦横の繋がりよりも、個性やキャリアを重視する。だから年若でも才能があれば年俸もいきなり上がるし、逆に天狗になって成績を落とせば容赦なく切られるというシビアな世界だ。
    そんな殺伐とした環境に馴染めるかどうか最初は確かに不安だったが、信頼できるパートナーである加藤亮が同じ職場にいたので、自分も新しい環境に飛び込んでみることにしたのだ。
    それから季節はめぐり、ようやく一年が経った。以前の職場と比べるとドライな環境に慣れ親しむまで時間がかかったが、恋人の加藤の存在は大きかった。カウンセリングルームも隣同士なので、時間が合えば一緒にランチを取ったりする。加藤は主にキャリアについての相談を受け持ち、伏見は人間関係に置ける相談を引き受けた。もちろん職場の人間関係が主だが、恋愛だったり、家族問題を持ち込まれることもある。そのひとつひとつに誠実に応えていたので、伏見の社内のでの評判は上々だった。そのこと昨夜の飲み会で評価されていたのだが、なぜ、いまひどく暑いのだろう。三月下旬でこの蒸し暑さはない。
    肌をぬるりと汗がすべる。そのことにわずかな嫌悪感を覚えながら起き上がり――そこでベッドに寝かされていたことを知った。
    まだ眠気の残る瞼を擦ってあたりを見回す。
    ここはどこだろう……。
    覚えのない部屋だった。コンクリートの打ちっぱなしの部屋で、壁にはなにもかかっていない。ベッドはキングサイズもあろうかという大きさで、正面には大型の液晶テレビが置かれている。ローソファとテーブル、クッションもいくつか。それらのすべてがモノクロで構成されていることに気づき、「……亮?」と恋人の名を呼んだが、返事はない。
    失態を犯して泥酔し、誰かにどこかへと運び込まれたのだろうか。必死に昨日のメンバーを思い出しながらベッドを下りようとして、両足が動かないことにぎょっとした。
    見れば、足首には革のようなベルトが巻かれ、じゃらりとした長い鎖がついていて、ベッドの支柱に巻き付けられている。恐る恐る引っ張ってみるものの、頑として動かない。右も、左も。上半身は固定されていないので、必死に腰をよじったり足首のベルトを外そうとしたのだが、ベルトのバックルにはご丁寧にもちいさな錠前がついていた。
    「なんなんだ、これ……」
    いくら酔っても、自分でこんなことをする趣味はない。となれば、第三者の仕業だとしか思えない。だが、誰なのか。誰がいったいこんなことをしでかしたのか。
    ふと気配に気づいて振り向くと、ベッドの側面には横長の鏡が貼られていた。そこに、真っ青で髪を振り乱した下着姿の自分が映っている。かろうじてシャツは肩に引っかかっているというだけだ。ネクタイとスラックスはない。誰かに脱がされたのだろう。
    誰に? なぜ?
    部屋は十二畳から十四畳ほどの広さだ。天井にはレールライトが点いていて、なんだかインテリア雑誌を飾る一枚か、映画の中のセットみたいだ。
    動転している伏見は必死に声を張り上げた。
    「あの、誰か! 誰かいませんか! 誰か……」
    悲痛な声はコンクリ壁に吸い込まれていくだけだ。
    いったい、どうなってしまうのだろう。恐怖に身を縮こまらせていると、部屋の片隅の扉がキィッと開いた。そこから入ってくる長身の男に、伏見は目を瞠った。
    「亮……!」
    「ああ、起きましたね。よく寝ていたんですよ」
    「おまえ……」
    恋人で、仕事のパートナーでもある加藤の顔を見たらやけにほっとして脱力してしまった。
    いや、ほっとしている場合ではない。なぜ拘束されているのか聞かなければ。
    「亮、これはどういうことなんだ。どうして俺の足を縛ったりなんか……誰がこんなこと」
    「俺ですよ」
    あっさりと加藤は認めて頷く。
    「酔って暴れてたんですよ、あなた。俺が押さえつけても怒るばかりで、怪我しそうだったから一時的にね。苦しかったですか?」
    そう言って近づいてくる加藤は黒の艶消しのシャツとスラックスという洒脱な格好で、メタルフレームの眼鏡が怜悧な相貌によく似合っている。なのに、足下はなぜか裸足だ。
    「ごめん……俺、相当酔っていたんだな」
    加藤の言葉に恥じ入り、伏見は上体を起こしてうつむく。酒にあまり強くないから普段はそう飲まないのだが、昨夜は羽目を外してしまったのかもしれない。加藤も同席していたので、安心してしまったのだろう。
    「ほんとうにごめん。おまえは大丈夫か」
    「俺はこの通り。それより、喉が渇いたでしょう」
    「あ、……ああ、そうだな」
    言われてみると、途端に喉がカラカラに干上がる感じだった。蒸し暑い室内で、身体中から水分がなくなってしまったみたいだ。加藤はミネラルウォーターのペットボトルを片手に持っていて、揺らしながらベッドの端に腰掛ける。
    「飲みたいですか?」
    「……うん」
    頷きながらも、不穏な気配は隠せない。加藤の眼鏡の奥の目が笑っていないことに気づいたからだ。
    「亮、……その、まずはこの足枷を外してくれないか」
    「また暴れるかもしれないでしょう?」
    「大丈夫だ。……ごめん、正気を失っていたのかもしれないけど、いまはもう」
    大丈夫だから、と掠れた声で言おうとした伏見のそばに身体を横たえ、ベッドヘッドに背を預けた加藤がペットボトルの蓋をキリキリとねじ開ける。そして、美味しそうにごくりと水を飲む。よく冷えているらしく、ボトルの表面は白く曇っている。こくり、こくりと飲み干す水がだんだんと減っていくことに伏見はたまらずに口をかすかに開いて彼ににじり寄った。
    「亮。喉が渇いてるんだ……少しでいいから」
    「少し? ひと口でもいいんですか」
    「いい」
    加藤は冷ややかに笑って、またペットボトルに口をつける。もう三分の一まで減ってしまって、すがりつきたくなる。
    「亮……」
    なんだか意地悪だ。普段から冷静な彼ではあるけれど、この自分に対する執着心は並々ならぬものがあり、伏見は戸惑いつつも彼の深い愛情にくるまれてこれまで過ごしてきたのだ。
    「飲ませてほしいですか? だったら、飲ませてって言ってみて」
    「え?」
    「言わないとあげられないな」
    眼鏡の縁を押し上げてくすりと笑う加藤に反発心が沸き起こり、ぐっとくちびるを引き結ぶ。
    この一年間、濃密に愛されてきたのに、この豹変はなんなのだろう。人心を掌握することに長けている加藤だから、ここで平身低頭したらこの先が思いやられる。
    だが、加藤は澄ました顔でベッドサイドのミニテーブルに置いていたリモコンを手に取る。室内の温度がまたじりっと上がったようだ。
    「……りょう、……」
    汗がだくだくと背中を流れ落ち、気持ちが悪い。髪も額にへばりつき、加藤が指でかき上げてくれる感触にぞくりと背筋が震える。
    「強情なんだよなぁ、智紀はまったく……飲ませてって素直に言えばいいのに」
    ちいさく笑って、加藤はひと口水を口に含んだかと思ったら、突然伏見に覆い被さってきた。そして頭を鷲掴みにし、くちびるをふさいでくる。
    ちゅくり。
    ほんの少しの水がくちびるの隙間から伝わってきて、乾ききった口内を慰め程度に潤す。
    「あ……」
    甘い水が喉の奥にしたたり落ちてきて、伏見は懸命に飲み込んだ。美味しい。こんなに美味しい水は飲んだことがない。
    「もっと……飲みたい」
    「もっと?」
    冷たい笑い方が怖いのに、いやに胸を揺さぶる。

     

    (本編に続く)


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