C93お品書き(完成)

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    12/30(冬コミ2日目)東2 A56b「Cult7」

     

    ※朝一番の高額紙幣はご遠慮くださいませ

    ※すべて18禁です

     

    ☆新刊☆

    「はじめまして、澤村です。」(『くちびるに銀の弾丸』番外編)18禁 300円

    同居を始めて2年目。ますます水嶋の深みにはまっていく澤村だけど、「この年末は一緒に過ごせない」と言われて……?

    甘めのえろめ、年末年始らしい読み切りです。

     

    ☆既刊☆

    「オメガの休暇」18禁500円※僅少
    「あなたの猫になりました。」(「今日から猫になりました。」番外編)500円
    「Re:他人同士」(『他人同士』番外編)1000円
    「真夏の誓い」(『くちびるに銀の弾丸』番外編 18禁)300円※僅少
    「僕は南くんの犬です」(『誓約のうつり香』番外編)500円※僅少

    「お嫁においでと言われても」(『結婚したいと言われても』)500円

    「俺の好きな人は、」(「A3!」万至18禁200円)※僅少
     

    ※本人直参の予定です。当日はひとり参加なので、ほんの一瞬ばたつく時間があるかもしれませんが、精一杯頑張りますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。いつもどおりサエコさんの「ミミック」と合体参加です! サインについては、混雑する時間帯でなければ喜んでお受けしますので、お申し付けくださいませね。寒い中、そしてお忙しい中でいらっしゃることと思いますが、ひと言お声掛けして頂けるととても嬉しいです!

     

    ※書店委託は、コミコミスタジオさんにお願いしています。予約スタートしています! 「秀 香穂里」で検索してみてくださいね。

     

    ※新刊のサンプルは折り畳み記事にあります。

    (※サンプル)

     

     

    「え、正月一緒に過ごせないの?」
    「まあな。今年は実家に戻らないといけないんだ」
     年の瀬も押し迫った十二月三十日の夜、風呂上がり、湿った髪をタオルで拭きながらこたつに入ってきた水嶋弘貴の口調は素っ気ないが、彼なりに気遣っていることぐらいはわかる。もう、同居生活も二年を越えているのだ。彼の恋人であり、よき仕事のパートナーである澤村朗はため息をつきながらも彼のために緑茶を淹れてやる。夜だが、水嶋は濃い目の緑茶を好んでいるのだ。よくスーパーでも新製品を買ってきて、「どれが美味しい?」と澤村に訊いてくるぐらいだ。
    「はい、どうぞ」
     水嶋の前にことりと紺色の湯飲みを置くと「ありがとう」と返ってきて、ゆっくり熱いお茶を飲んでいる気配がする。
    「今年はあんたと一緒にハワイにでも行こうと思ってたんだけどな」
    「海外で年越しか。そういうのも楽しそうだ」
     浮かない顔の水嶋に、「なんか大事な用?」と慎重に訊ねてみる。そういえば、あまり彼の個人的な事情に突っ込んだことはいままでなかった。誰よりも目を惹く男で、ほとばしる才能で多くのファンを楽しませるゲームクリエイターである以前に、水嶋はどんな男なのだろう。どんな家で育って、どんな両親を持ってきたのだろう。
    「……成城にある実家に帰らないといけないんだ」
    「うわ、結構いいところの坊ちゃん」
    「嫌みか。親が――ただそれなりの資産家っていうだけで……」
     自分のプライバシーを語るのは得意じゃない水嶋の気まずそうな横顔に苦笑いし、澤村は元気づけるように斜め横に座って上体を近づけ、ちゅ、と軽く頬にくちづけてやった。
    「朗?」
     案の定、水嶋はびっくりした顔だ。
    「嫌みじゃねえよ。ただ、ほんとうにいい育ちだったんだなって。あんた、品があるし、教養もあるし、なにより世界中でいちばん綺麗だよ」
    「最後のは家と関係ない」
     水嶋も少しは気が解れたのか、くちびるを尖らせて笑っている。
     ふうふうと湯飲みを冷ましている姿はちょっと子どもみたいで可愛い。昼間はぴしりとしたスーツ姿で仕事をこなしている姿をオフィスで見ているせいか、夜になってこうしてふたりきりになったときぐらい、くつろがせてやりたい。
     その証拠に、いま、水嶋が着ているスウェットのセットアップは、昨日まで澤村が着ていたものだ。今朝洗濯籠に放り込んで、明日の週末洗おうと思っていたのに。
    「洗濯したパジャマあっただろ」
    「いいんだ、これのほうが着やすいし。……おまえの匂い、するし」
    「……あんたねー」
     頬をつねりたくなるぐらい可愛いことを言う。たまらずに彼を抱き込んで背後に回り込み、壁に寄り掛かった。それから、まだ少し湿っている水嶋の髪をタオルでくるんでやる。
    「ほんっと、俺はあんたにメロメロだよ。っんなんだよ、ここまで俺を骨抜きにしといて正月はひとりきりにするわけ?」
    「おまえも実家に帰るとか」
    「うち、今年は北海道に旅行するって言ってたから誰もいねえの。寂しいじゃん」
     そう言うと、水嶋はほんとうに申し訳なさそうだ。黙って緑茶を飲んでいたが、やがて、なにかを決心したように頷く。
    「わかった。おまえも一緒に来い」
    「は?」
    「おまえも実家に連れていく。――決めたからな」
     なんだか犬にでもなった気分でちょっと可笑しい。慌てて肩越しに、水嶋の顔をのぞき込んだ。
    「いやでも、ご両親のご都合もあんだろうよ。俺は無理しない。数日ここで待ってるだけだしさ」
     さすがに子どもっぽい拗ね方をしたかなと反省したのだが、案に相違して水嶋は真剣だ。
    「前からやろうと思っていたことだ。いい機会だから、行こう。行ってくれるな?」
     真面目な声に、呑まれてしまう。我ながらめずらしいが。本気になったときの水嶋には抗えないのだ。
    「……ん。いい、けど。マジで無理してね?」
    「してない。俺たちのためだ」
     なにをどう決意したのかわからないが、硬い顔をしたままの水嶋を放り出すことはできないから、ことさらやさしくうなじにくちづけ、ゆっくりと胸を撫でまわす。
    「朗……」
    「風呂上がりでいい匂いだ。同じシャンプー使って、俺のスウェット着て……すっげえむらむらする……。してもいい?」
    「も、……触ってる、くせに……」
     色っぽく潤んだ目で振り向く水嶋にくちづけ、舌をきつく絡め合った。
     水嶋がくすりと笑って身体を擦りつけてくる。最初の頃は尖ったガラスのような男で、どこをどう触れても感じるのにつらそうだった。水嶋はゲイで、澤村はノンケだった。ノンケの男に感じさせられる屈辱は、いまの澤村なら多少なりともわかる気がする。『女なんか掃いてもも掃いても寄ってくんだよ』と後輩の瀬木に言い捨て、顔のよさに任せて合コンに合コンを重ねて目に付いた女をお持ち帰りした日々。その中に水嶋も混ぜ込んでしまい、彼をまるでトロフィーのように扱ったことも覚えている。恋愛は、相手を手中にするまでがおもしろい勝負だ。
     この男をモノにしたら俺の勝ちだ。あれだけ女を夢中にしてきた俺なんだからできないことはない。
     だが、実際はどうだ。二年経ったいまでは自分のほうから待ちきれずに手を出し、みずみずしい肌に触れる時間を待ちわびている始末だ。
     深みにはまったのは、自分だ。
     彼と寝る仲になっても、女とつき合うのをやめなかった最低な自分。あの頃水嶋がどんな思いで「おまえは不誠実なんだよ」と呟いたのかと考えただけで胸が締め付けられて焦れったくなり、薄めの肩を抱いて立ち上がった。
    「朗? ここでするんじゃないのか」
    「ベッドでちゃんと抱く。いまの俺は過去を反省してあんたを大事に大事にしたい気分でいっぱいなんだよ」
    「そんなのおまえらしくない。なんか気持ち悪いぞ」
    「言うじゃん」
     水嶋の額を指でつついてくすりと笑い、ベッドルームへと引っ張り込んだ。ちいさな枕元のランプだけつけて、ほっとしたように息を吐く水嶋に覆い被さる。


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